自社オリジナル商品の開発と、そしてそれを支える社内情報システム構築の歩み、この2本柱が、わが社の躍進を支える原点でした。ここでは、これまであまり紹介する機会がなかった社内情報システム構築の歩みに焦点をあててみたいと思います。

社内情報システム構築の歩みを振り返って

みのり工房株式会社遠藤海苔店 代表取締役 遠藤 善明

情報の電子化へ



 平成元年に初めて情報の電子化に取り組んでから30年以上が経過しました。ふりかえれば、日々営業活動や販売及び生産活動に忙しく追われながらも、オンリーワンの自社オリジナル商品を開発しようと意欲に燃える一方、受注から生産までをタイムリーに処理するためになんとかして情報の電子化を推し進めようという思いが交錯して悶々としていた時期がありました。
 受注生産体制の確立、そして、受注から製造、納品までの時間が24時間以内という制約、それがお客様から求められた厳しい課題でした。この課題をクリアするためには、人、物のほかに情報及び迅速な情報処理システムが必要でした。業務を効率化するにはどうすればよいのか、情報処理システムの開発及び運営に本気になって取り組んだ弊社の足跡をたどってみたいと思います。

ゼロからの出発—オフコンとの格闘



 わたしが、コンピューターを初めて手にしたのは、昭和62年でした。それまで手書きで処理していた伝票をパソコンで処理できたらいいのになあという単純な理由からエプソンのPC98互換機を購入しました。しかしながら、使いこなすまではいきませんでした。それからおよそ2年のときを経て、平成1年に、満を持して日本IBMのオフコンを導入し、それを動かすための格闘が始まりました。入社してからすでに8年の歳月が流れていました。昼の間は数億円の売り上げを支えながら、1日でも早くオフコンを動かすために、連日データーベースの整理に明け暮れました。

オフコンからサーバークライアント型PCへ



 伝票入力がスムーズに出来るようになりオフコンが本格的に作動するようになるまでにおよそ1年の歳月を要しました。それから平成7年までの7年間どうにか使いこなしたあと、平成7年4月にはこれまで使い慣れたオフコンに見切りをつけて、新しい潮流となっていたサーバークライアント型のコンピューターシステムへと移行する決断をして実行に移していきます。その頃は、オフコンからパソコンへとダウンサイジングの波が押し寄せていた時代でもありました。

 しかしながら、ようやくコンピューター処理に慣れ親しんだシステムを捨てて、まったく新しいシステムへ移行するリスクは想像を絶するものでした。新しいシステムを実現するためには、それに対応した受注販売管理及び生産管理のソフトを自力で製作しなくてはなりません。悩みになやんだすえに、外部のソフト会社に依頼して、一からオリジナルで作り上げる作業が始まりました。社内から情報処理に詳しいスタッフを2名選抜して連日夜遅くまでソフト開発の打ち合わせをおこないました。そして、ソフト開発に着手してからちょうど1年後に、血のにじむような努力が実を結んでようやく受注及び販売管理のソフトが完成し、新しいPCシステムが順調に作動するようになりました。

 それから2年後の平成9年に、初めてシステムサーバーを導入して、パソコンを7台連結して社内LANを組みました。コンピューターを初めて手にしてから、ちょうど10年目の快挙でした。長年の夢がかなうと同時に、自前の新しいPCネットワークシステムのおかげで、各部門が情報を共有することができるようになり、会社全体が一段とパワーアップすることになりました。

新社屋への移転



 平成11年3月、みのり工房の郡山支店の新社屋が完成、これを機にパソコンを一新して1Fから3Fまで全館新しいPCネットワークシステム(社内LAN)を構築、これによって、すべての部門で情報の共有が図られ、これまで以上に業務の効率化が促進されることになりました。

 平成15年8月には、光ファイバーを利用したインターネットシステムを導入、翌9月にはキャノンのフルカラー複合機を導入、カタログ及びパンフレット制作をタイムリーに行うオンデマンドシステムが完成してフルカラーの印刷が社内でタイムリーにできるようになりました。

 その当時、お客様からは、フルカラーのカタログ制作の依頼が次々と舞い込みました。一方、会社内部においては特に製造部門から、「社内のPCネットワークシステムに商品や資材の画像があれば、作業効率があがるだけでなくミスも少なくなるのでは」といった意見があいつぎました。また、パソコン自体の処理性能も急速に向上して、画像処理にトライする夢は日を追うごとに膨らんでいきました。

画像を駆使した情報化へ



 そして、平成16年10月、この夢を実現するために、第3次社内情報ネットワークシステムの開発に着手しました。まずソフトウエアーに関しては、すべての商品及び資材の画像データベースを構築して、受注、販売及び在庫管理システムに連動させる試みがスタートしました。ソフトウエアーの大幅な強化を図ると同時に、ハードウエアーに関しては、平成17年9月に社内パソコンを一新して、基本OSをウィンドウズ98からXPにアップグレードしました。これによって、日次業務のすべてにおいて、商品や資材の画像をみながら仕事ができるようになり、第3次社内情報ネットワークシステムの開発は、無事に成功を収めることができました。

 それまでは、PCの処理能力の制約もあって主に文字データしか扱えませんでしたが、第3次社内情報ネットワークシステムの開発が成功したことにより、平成17年からは画像データもストレスなく扱えるようになり、日次業務がビジュアルに行える夢のようなシステムが整備されました。

 その後平成21年9月には、フルカラーの印刷システムを強化するために、コニカミノルタのフルカラーグラフィック複合機を2台導入しました。これにより冊子の印刷物(中綴じもOK)の制作が可能になり、出力面においても多様なフルカラー印刷のニーズにタイムリーに応えられるようになりました。

 これまで述べてきたように、いま改めて我社の長年にわたる社内情報ネットワークシステムの進化の歴史をふりかえってみると、よくもまあ根気強く取り組むことができたものだとわれながら驚きを禁じえません。そしていま、毎日繰りかえされる日次業務において、もはや社内情報ネットワークシステムなくして仕事が成り立たないほど計り知れない恩恵を受けていることを思うとこれまでの努力が決して無駄ではなかったという安堵感がこみ上げて、万感胸にせまる思いで一杯です。
 

みのり工房株式会社遠藤海苔店 代表取締役 遠藤 善明