2023年の年頭に当たり、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
みのり工房株式会社遠藤海苔店では、昨年12月より宮城県漁業協同組合(JFみやぎ)入札会に複数回参加し、「みちのく寒流海苔」の買い付けを進めています。
「みちのく寒流海苔」とは、親潮(寒流)の恵みを受ける仙台湾で育まれた宮城県産海苔のブランド名です。
宮城県は海苔の主産地の最北に位置し、全国で最も早く12月の時期から入札が開始されます。
入札会には参加資格を持つ海苔業者だけが集まり、海苔の品定め(見付け)をして競争入札を行います。
入札する海苔は「乾海苔(ほしのり)」と呼ばれるもので、そのまま商品として供給されるものではありません。
乾海苔は、生産者によって1次乾燥がなされ、二つ折りにされた状態ですが、この段階ではまだ水分が多く含まれているため、落札した海苔業者はすぐに「伸ばし」と「乾燥(2次乾燥/火入れ)」の作業を行わなければなりません。
わたしたち海苔業者がこうした作業を行い、最終的に「本焼き」をすることによって、ようやくお客様にお召し上がりいただく「焼き海苔」が仕上がるのです。言わば「海苔屋」の本領が発揮されるところであり、気の抜けない工程が続きます。
当社では現在、これらの「伸ばし」、「乾燥」の作業に取り組んでいます。
「伸ばし」とは、二つ折りの海苔を開いてまっすぐに伸ばす作業で、本焼きの際の焼きムラを防ぐために欠かせない作業です。
「乾燥」は、海苔を最適な状態で香り豊かに長期保管できるようじっくりと低温で乾燥処理する作業で、品質がそこなわれないよう注意深く行います。
手間のかかる作業ですが、これらは焼き海苔の味、色、香り、すなわち海苔の個性を左右するとても重要な作業であり、当社では一切妥協せず手間と時間をかけて行っています。
こうした工程を経て乾燥させた海苔は厳重に冷凍保管し、ご注文をいただいてからいよいよ最終的な「本焼き」の作業に入ることになります。
設備の機械化により海苔の製造工程も省力化が進んでいますが、自然の産物である海苔は生産時期によって微妙に品質が異なるため、適切な加熱温度も一様ではありません。納得のいく焼き海苔を仕上げるためには、職人の目利き、長年の経験や技が重要であることに変わりはないのです。
みのり工房の「みちのく寒流海苔」は、今年も豊かな磯の香りにあふれ、歯切れも良い上質の海苔となっています。ぜひともご賞味ください。